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東京地方裁判所 昭和56年(ワ)13018号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【説明】

請求原因1、2の(一)ないし(四)及び3の骨子は、次のとおりである。

「1 原告の訴外会社に対する継続的取引上の、右売掛残代金は、昭和五一年一一月三〇日の時点で、合計金一億五四六九万九四一九円であつた。

2 被告は、昭和五一年一二月七日、以下の経緯から、訴外会社の原告に対する前記売掛代金債務につき、同社に連帯して、原告に対してその支払を保証するに至つた。即ち、

(一) 訴外会社は、昭和五一年一一月二五日、東京地方裁判所に対して会社整理の申立をし、これに合わせ、同月二九日、訴外会社の債権者総会が開催された。その席上、訴外会社の代表取締役である被告は、債権者のうちから出された「かかる事態(会社整理)に及んで、社長(被告)は、その個人財産を投げ出してでも、対処する意思があるのか」との質問に対して、その意思がある旨を言明しただけでなく、訴外会社の代理人であつた弁護士平岡高志も「社長(被告)の保証は別紙保証書で行なう」と確認した。

(二) 右債権者総会では、出席した訴外会社の債権者五四社(因みに、全債権者は六七社)のうちから原告を含む債権者一一社がいわゆる債権者委員に選任され、右債権者委員は、同所で、第一回債権者委員会を開き、原告を債権者委員長に選出した。

(三) 原告ら訴外会社の債権者委員は、同年一二月七日、第三回債権者委員会において被告の個人保証を文書化する旨を決議し、その方法として、各債権者毎に保証書にかえ、一括し、債権者委員会宛ての保証書の提出を被告に求めることとした。

(四) 同日、原告ら債権者委員は訴外会社において、被告からその作成に係る別紙連帯保証書の提出を受けることとなつた。

3 原告は、前記1の売掛代金債権の残額は、現在、金一億〇一六八万〇七〇三円である。」

【判旨】

請求原因1、2の(一)、(二)および(四)、3の事実はいずれも当事者間に争いがなく、同2の(三)の事実は、原告代表者本人尋問の結果により、これを認めることができる。

そこで、右事実を前提に、被告が訴外会社の債権者委員会に提出した本件保証書の効力が同社の債権者の一人(一社)である原告に及ぶか否かについて検討すると、先ずもつて、本件保証書の記載内容(別紙のとおり)からみて、そこに、訴外会社の債務について、被告が、同社に連帯して、その支払を保証する旨の意思表示(申込)を肯認できることは明らかである。そして、前示事実関係(請求原因2の(一)ないし(四))の下では、右意思表示(本件保証書)を受領した原告ら訴外会社の債権者委員(会)の行為が、同社の各債権者を代表(正確には代理)しての法律行為(承諾)であつたことも、また、これを否定することができない。被告は、この点につき、右債権者委員(会)は任意的・便宜的なものであつたが故に、その行為に訴外会社の各債権者にとつての個別的な代理関係を認めるべきではないとの趣旨の反論をなすが、右債権者委員(会)が商法(会社整理)上のものではないとは言え、訴外会社の各債権者が右債権者委員(会)に法律行為を委任し、それに伴なう代理権を授与しうることは民法上何ら問題はないし、少なくとも原告についてみれば、訴外会社の債権者の一人(一社)である原告が右債権者委員(会)に対して被告から本件保証書を受領すること等を委任していたことは、原告自らが同委員の一人(一社)であつたことに鑑み、否めないところである。従つて、前示意思表示(連帯保証の申込)を受領(承諾)した効果が原告に帰属することは明白であるから、被告の反論は、委任関係が明瞭でない債権者に対してならば兎も角、対原告の関係では、これを採用しない。 (滝澤孝臣)

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